鮮やかな刺繍が施された真っ黒なスカート。実は、1カ月前は真っ白でした。見違えるように生まれ変わった、そのワケとは?
■「着実に伸びている」“染め直し”コロナ禍で注目
都内のセレクトショップに集められたのは、700着にも及ぶ衣服です。
長年着続けて色あせたり、シミが付いたりした服が目立ちます。それが、鮮やかな色をまとった新しい服に生まれ変わりました。
実は、この店では、服を捨てずに長く楽しんでもらうため、“染め直し”のサービスを行っているのです。
この店で購入した服でなくても依頼することが可能で、色は、黒と紺のほか、期間限定カラーの計3色から選べます。
コートなど、厚手の物でも美しい色に。コロナ禍で、依頼が急増しているといいます。
「D&DEPARTMENT」重松久惠コーディネーター:「服やクローゼットを見直した時に、着てない服が山ほどあることに気づいた方が多いのだと思う。(募集するたびに)着実に10%とか15%ずつ伸びている」
このサービスを利用した人は・・・。
染め直し利用者:「ブランケットを染めたのが最初で。興味のあった緑色の染めができるということで利用した。自分が使っていた小さい時の洋服とかも染め直して、どなたか着られる方に着て頂くという方法もあると思う」
■廃棄されるはずだった服を“黒染め”で再生・販売
一方、アパレルメーカー「アダストリア」では、「1つの色」にこだわった“染め直し”サービスを提供しています。
「アダストリア」松崎あさこマネージャー:「これらは元々、黒い服ではなかったんです。捨てられるはずの服を黒染めで、アップサイクルした服になります」
廃棄されるはずだった服を“黒染め”によって生まれ変わらせ、新たな商品として販売しているのです。
「アダストリア」松崎あさこマネージャー:「繊維によって黒色の入る入らないが決まってくるので。真っ白な刺繍(ししゅう)のスカートを黒く染めたら、このように色と柄が浮かび上がった。デザイナーもびっくりだと思います」
綿やシルクなどの素材は真っ黒に染まるのに対し、ナイロンなどは全く染まらず、元の色がそのまま残ります。素材の違いが豊かな表情を生み出すのです。
■「染めたら再生できる」という概念を作りたい
黒染めを行うのは、100年以上にわたって紋付きの染色をしてきた京都の業者です。3年間の試行錯誤の末に、現代の服にも合う技術を確立しました。
「京都紋付」荒川徹氏:「我々ずっと黒を追求することしかやってない会社なので。紋付きの需要は毎年毎年どんどん減っていって、その技術を何か生かしていく方法はないかと」
提携先の店などを窓口に、黒染めの依頼を受け付けている業者。そこには、「捨てられる服を減らしたい」という強い思いがありました。
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