北朝鮮が、韓国との融和の象徴ともされていた南北の連絡事務所を爆破。
緊張が一気に高まっている。

爆破の瞬間を捉えた映像では、激しい爆発のあと、煙を上げながら、周辺の建物や大きなビルの外壁が一瞬のうちに崩れ落ちていた。

北朝鮮が爆破したのは、韓国と共同で運用していた開城(ケソン)工業団地内にある南北連絡事務所。

朝鮮中央テレビ「16日午後2時50分、大きな爆音とともに、北南共同連絡事務所が悲惨に破壊された」

朝鮮半島筋によると、4階建ての建物の3~4階は失われ、1~2階は、鉄骨だけが残っている状態だという。

2018年4月、韓国・文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「南北の当局者が常駐する共同連絡事務所を開城に設置することになったことも重要な合意だ」述べていた。

2018年4月に行われた南北首脳会談を受けて、その年の9月に北朝鮮の開城工業団地内に開設された、南北連絡事務所。

韓国と北朝鮮の当局者が常駐する初めての連絡事務所で、南北融和の象徴だった。

今回の連絡事務所の爆破をめぐっては、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の妹、与正(ヨジョン)氏が存在感を示していた。

5月、韓国の脱北者団体が金正恩委員長を非難するビラをまいたことを、与正氏は激しく非難。

報復措置として、6月9日に連絡事務所を一方的に閉鎖し、13日には、連絡事務所の破壊を予告する談話を発表していた。

与正氏(13日)「遠からず、共同連絡事務所が跡形もなく崩れる光景を目にするだろう」

爆破を受けて韓国大統領府は、緊急のNSC(国家安全保障会議)を開き、対応を協議。

北朝鮮に対し強力な遺憾を表明したうえで、韓国大統領府・金有根国家安保室第1次長は、「北側が状況をずっと悪化させる措置をとる場合、わたしたちはそれに強力に対応することだと厳重に警告する」と警告した。

中国外務省・趙立堅報道官は、「中国は近隣として一貫して、朝鮮半島の平和と安定を望んでいる」と述べた。

また、ロシアのペスコフ大統領報道官は、記者団に対し、朝鮮半島で何が起こっているか注意深く見ている。北朝鮮の行為は懸念を引き起こすので、すべての当事者に自制心を取り戻すことを呼びかける」と述べた。

そして安倍首相は、「南北関係がこれ以上緊張しないことを、われわれも望んでいる。韓国やあるいは米国と、しっかりと緊密に連携をしながら情報をしっかりと分析し、対応していきたい」と述べた。

文在寅大統領と金正恩委員長の今後の動向次第で、朝鮮半島の緊張は、さらに高まることになるとみられる。

(2020/06/17)
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