2020年の断食月「ラマダン」は、異例ずくめ。

新型コロナウイルスは、イスラム教の特別な月にも、大きな影を落としている。

感染者が15万人を超えた一方、先週、活動制限が一部緩和され、日常を取り戻しつつあるトルコ。

現在は、イスラム教徒にとって、特別かつ、1年の中でも最も過酷な月である「ラマダン」の時期だが、コロナの影響はその祈りの習慣にも及んでいた。

扉が閉じられたままのモスク。

毎週金曜日は大切な集団礼拝の日とあって、従来であれば、多くの信者がモスクに詰めかける。

しかし、この「密」状態は危険との判断から。

イマーム(モスクの指導者)「(今は)トルコのすべてのモスクにおける、ラマダン中の集団礼拝は禁止されています」

2020年2月には、マレーシアのモスクで大規模な集団感染が発生したほか、各地でモスクでのクラスターが相次いだため、ラマダン中のトルコでも集団礼拝は禁止となった。

イマーム(モスクの指導者)「個人的に、ここに来て、集団礼拝以外の時間に祈りをささげることは可能です」

さらに、ラマダンの期間、日中は断食状態。

そのため、日没後の食事を大勢で楽しむ「イフタール」と呼ばれる習慣は、国民の楽しみとなっているが、2020年はどこのお店も休業中。

唯一開いているお店は、テイクアウトとデリバリーを行う店舗のみ。

そのため、ほとんどの家族が、自分たちで食事を用意し、自宅で食べている。

奥さんが作った料理を親戚夫婦とともに囲む。

祈りも、食事もステイホーム。

2020年のラマダンは、まさに異例ずくめ。

こうした、かつてない状況の中でも、イスラム教ならではの助け合いが。

モスクでは、入り口の食材が並べられ、新型コロナで経済的に困っている人たちに無償で提供している。

困っているのであれば、救いを求め、またそれに応えるという、助け合いの文化が根づくトルコ。

食材のほかに、ティッシュペーパーや洗剤などの生活用品がびっしりと並べられ、氏名と電話番号をモスクに連絡するだけで、無償で受け取ることができる。

デデマンモスク・イマーム(モスクの指導者)「ソーシャルディスタンスを守りながら、無償で欲しいものを差し上げています。(寄付のため)車いっぱいの品物を持ってくる人もいますし」

この助け合いは、新型コロナが収束するまで続ける予定だという。

異例のラマダンも、残りわずか。

エルドアン大統領は18日、禁止されていた集団礼拝の一部を、ラマダン後の29日から認めると発表した。

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