19日夜に行われた、新型コロナウイルスの対策などを検討する政府の専門家会議。
現在の国内の状況について、次のように見解を示した。

地域医療機能推進機構・尾身茂理事長:
国内の感染状況については、北海道以外の新規感染者数は、日ごとの差はあるものの、都市部を中心に漸増している。また、高齢者福祉施設などで集団感染の報告があります。このことは一定の地域で感染が広がり、高齢者の感染も増えてるということを示します。感染源としてのクラスターへのリンクがわからない。こうした地域が拡大し、いつかどこかで爆発的な患者急増、オーバーシュートにつながりかねない状況が続いていると思います。

一方、国内全体での新規感染者数は、若干減少しております。そのため、日本全国で見れば大規模イベント等の自粛や学校の休校等の直接の影響などがそれに付随して市民の行動変容が生じたのか、その内訳の分解は困難であるものの、市民の適切な行動変容により、効果があったことを意味しております。

大規模イベント等については、主催者がリスクを判断して慎重な対応が求められると思います。多くの人が一堂に会するという集団感染のリスクが想定され、この結果、地域の医療提供体制に大きな影響を及ぼしかねないこと。イベント会場のみならず、その前後などに付随して人の密集が生じること。全国から人が集まることにともなう各地での拡散リスク、およびそれにより感染者が生じた場合のクラスター対策の困難性。屋内、屋外の別、あるいは、人数の規模には必ずしも寄らないこと。

こうした4つの観点から、大規模イベントを通して集団感染が起こると、全国的な感染拡大につながると懸念されます。このため、地域における感染の実情や必要性に鑑み、主催者がどうしても開催する必要があると判断する際には、十分注意して行っていただきたいと思います。

しかし、そうしたリスクへの対応が整わない場合は、中止、または延期をしていただく必要があると思います。


感染状況別の地域ごとの対応についても見解が示された。
19日、まず“オーバーシュート”という言葉が新たに出てきた。

オーバーシュートとは、あるときに突然爆発的に患者が増加することで、オーバーシュートが発生すると医療体制に過剰な負荷がかかり、適切な医療が提供できなくなって諸外国にすでに見られるような移動の制限、いわゆる“ロックダウン”に追い込まれることになると懸念を示している。

そのうえで19日、専門家会議では、感染状況別に地域を3つに分けて対応策を提言している。

まず1つ目は、感染が拡大傾向の地域では、独自のメッセージやアラート、一律自粛の必要性について検討する必要性があり、それらは、危機を乗り越えられるまでの期間に限り導入することを基本とすべきとしている。

続いて2つ目は、感染状況が収束に向かい始めている、もしくは一定程度おさまってきている地域では、クラスターの発生リスクが高い3つの条件、つまり密閉空間で換気が悪い場所、近距離での会話、手に届く距離に多くの人がいる、こういった状況を徹底的に回避する対策をしたうえで、感染拡大リスクの低い活動から徐々に解除を検討することになるとしている。

そして3つ目は、感染状況が確認されていない地域では、学校、屋外でのスポーツ、スポーツ観戦、文化施設の利用など、感染拡大のリスクの低い活動から実施してくださいとしている。

ただし、クラスター発生リスクが高い3つの条件、これを徹底的に回避するための対策は不可欠であるとしている。

このように、これまで全国一律の自粛要請とは異なる対応を提言している。

(2020/03/20)

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