障害がありながらパティシエになる夢を追いかける、小学6年生の女の子がいる。
1月に番組で紹介したこの女の子が、ついに自分だけのお菓子工房を本格オープンさせた。
母・千里さん「ちょっとお店らしくなったやろ? オープンみたいな感じになったやろ? オープンって感じするやろ?」
杉之原みずきちゃん(12)「わからん!」
店長は、12歳のパティシエ・杉之原みずきちゃん。
ここが彼女の小さなお城、“みいちゃんのお菓子工房”。
見事な手つきでケーキを作る姿からは想像ができないが、実は、みいちゃん、場面緘黙(かんもく)症という障害を抱えている。
そんなみいちゃんの登校の様子。
片足だけ前に出した状態で止まってしまった、みいちゃん。
車に乗る時は、おばあちゃんとボランティアの女性の2人がかり。
上履きを履くこともできない。
“場面緘黙症”とは、集団生活の場などで、緊張などから体を動かせなくなる障害。
みいちゃんは、家族以外の人と言葉を交わすことができない。
授業は先生と1対1。
この日は、教頭先生と漢字の勉強。
山田香教頭「上手。疑問の疑。ほかにも、疑を使った言葉は何があるかな?」
学校では一点を見つめ、しゃべることはない。
3年生までは1人で通学していたというみいちゃんだが、4年生に進級し、突然、場面緘黙症の症状が顕著になったという。
そんな時、唯一夢中になれたのがお菓子作りだった。
独学ながらも腕前は見る見る上達し、ある食のサイトのスイーツ部門ランキングで、世界一に輝くほどに。
そして今回、クラウドファンディングなどを活用し、夢だったお菓子工房のオープンにこぎ着けた。
本格オープンの前日。
工房の中でマイペースに作業を進めるみいちゃんとは対照的に、せわしなく動き回る母・千里さん。
出来上がったケーキの置き場が足りない。
母・千里さん「これは使う?」
みずきちゃん「使う。使うって! 使う、使う」
母・千里さん「いつ使うか言って!」
みずきちゃん「わからん」
みいちゃんがこのように言葉を発するのは、自宅と工房だけ。
場面緘黙症の症状はまだ出ていないが、母・千里さんは、こんな不安を…。
母・千里さん「1回できなくなったら、二度と戻らないっていうのが、学校で経験してきたので、工房でもね、怖さも半面あるんですよ」
工房でも場面緘黙症の症状が出てしまうかもしれない。
家族は、その不安と戦っている。
みいちゃんのお菓子工房、本格オープンの日。
母・千里さん「どうなの味は? えっ、アカン? マジで?」
シュークリームのできが、ちょーっとだけ気になるみいちゃん。
母・千里さん「まだ完成されてないから、売っては味が変わっていく店でいいかな」
母・千里さん「店長は開けなアカン!」
オープン初日、550円のモンブランタルトや、400円のクッキーシュークリームがショーケースに並んだ。
開店前から、店の前には想像以上の行列が…。
来店した客「がんばっているようで、応援したくなる気持ちになりました」
さらに、訪れた親子は「この子もちょっと発達(障害)があるので、親として焦る気持ちがあるけど、みいちゃんのお母さんは、すごく温かく見守っていて、すごいなと参考にさせていただいています」
そして、みいちゃん、お客さんとすりガラス一枚を挟み、しっかり動いていた。
お客さんの存在に気後れすることなく、ケーキを作り続ける。
260個のケーキが、わずか2時間で完売。
母・千里さん「頑張っていましたよ。自分なりに勉強したのと、店長の自覚。100点あげていいと思います」
閉店後、みいちゃんが母・千里さんに送ったメッセージ。
そこには、「苺のボンボンショコラ、コーヒーボンボンショコラ、ガトーショコラ、生チョコサンドクッキー、ケーキポップ」と、新たなメニューが…。
ひとつ、大きな夢をかなえた12歳のパティシエ。
もう、次への一歩を踏み出している。
(2020/02/11)
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