シャトルが「二重に見える」。
右目の眼窩(がんか)底骨折で手術を受けていたバドミントンの桃田賢斗選手(25)。
気になる競技への影響は。
桃田選手が受けた全治3カ月の診断。
右目の眼窩底骨折という、聞き慣れない症状だった。
1月、遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれた桃田選手。
帰国後の精密検査では、骨折などはなく、異常なしとされていて、2月3日から日本代表合宿に参加していた。
しかし…。
「シャトルが二重に見える」
バドミントンのシャトル、つまり羽根が二重に見えるという。
実はこの症状、2019年、ボクシングの井上尚弥選手(26)も試合中にパンチを受けたあと、「ドネアが2人に見える状態が最終ラウンドまで続いてしまった
」と語っていた。
実はこの時、井上選手の身に起きていたのも、今回の桃田選手と同じ、右目の眼窩底の骨折だった。
二重に見えてしまう眼窩底の骨折とはどのようなものなのか、専門家に聞いた。
梶田眼科・梶田雅義院長「(眼窩底は)眼球を支える骨。それが圧力がかかると割れてしまう。これが戻るときに筋肉を挟んでしまう」
眼球は、周りの筋肉の伸び縮みにより動くが、眼窩底を骨折すると筋肉が緩んで、折れた骨の隙間に落ちる。
この時、筋肉は骨に挟まってしまい、眼球を上に動かす動作ができなくなるという。
では、具体的にどう見えるのか。
取材班は、医師の監修のもと、左右の目に見立てたカメラ2台を使って検証した。
実際にシャトルが上に飛んだときにどう見えるのかを再現。
まずは、左右の目の動きが、それぞれ同じの場合。
両目で見たときには、当然、上に飛ぶシャトルは1つに見える。
では、右目が眼窩底骨折をして、上に動かせない場合はどうなのか。
同じくシャトルが上に飛ぶ動きで検証した。
すると、左目がシャトルを中心で捉えるのに対し、右目はシャトルを追いきれず、視界の高い位置で捉えている。
これを2つの映像を重ね、両目でどう見えているのかを見てみると、シャトルが二重に見える現象が起きる。
梶田眼科・梶田雅義院長「思い切り上を見たときに初めて二重になる。真っすぐ前を見るぐらいだと全然問題ない。大抵日常生活は、下目遣いが多いので、下見てるとほとんど気にならない」
では、競技にどんな影響が出るのか。
バドミントン元日本代表・潮田玲子さん「コースを狙うときには、ライン上を狙って打つことは常にマストだったりもするので、そのラインが、例えば二重に見えてしまうとかってなると、コントロールがずれたりだとか、そういった不調につながるんじゃないかなと思います」
全治3カ月と診断された桃田選手。
つまり、完治してから東京オリンピックまでは、2カ月しか残されていない。
スマッシュの初速が時速300kmを超えるバドミントンのトップ戦線の戦いに戻れるのか。
梶田眼科・梶田雅義院長「骨がしっかり固まるのに、大体1カ月半近くかかるでしょうから、そのくらいは無理しない方がいいと思うんですけど。目の動きとしては、手術してその日から二重になるのは消えてると思います」
(2020/02/10)
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