日本を取り巻く安全保障問題を、わかりやすく深堀りしていく、「日曜安全保障」。

「米軍の新たな動き! 低出力核弾頭W76-2」

竹内友佳キャスター「最近、沖縄県の嘉手納基地で、気になる動きがあったそうですね」

能勢伸之解説委員「そうなんです。特殊な偵察機、コンスタントフェニックスが2020年に入って数回、今週だけでも2回離陸していたんです」

竹内キャスター「この飛行機は、何回も飛んで、何をしようとしているんですか?」

能勢解説委員「コンスタントフェニックスは、世界にたった2機しかないアメリカ空軍の貴重な飛行機で、武装はありません。その任務は、何かが起きた場所の大気中のチリを『大気収集装置』のフタを開いて集めて分析する。もし、空気中に放射性物質があれば、原爆か水爆かどんな核実験だったのか分析でき、燃料の燃えカスがあれば、発射されたミサイルやロケットの推進材の能力がわかるともみられます」

竹内キャスター「ということは、北朝鮮の動きをにらんでの情報収集なんですかね? 最近、北朝鮮はおとなしくしているようにも見えるんですけど…」

能勢解説委員「ことが起こったあとに比較するための、大気サンプルを事前に集めているのかもしれません。北朝鮮は1月、これまでに発射したミサイルの画像に、噴射シーンを明らかにあとから合成して作った映像を公開して、『忘れてもらっては困るぞ』と言わんばかりのアピールをしています」

竹内キャスター「核でもミサイルでも、どっちでも嫌なんですけど、北朝鮮は何をもくろんでいるんですか?」

能勢解説委員「北朝鮮の動向ははっきりしませんが、アメリカの動きも気になります。5日、ミニットマンIII型大陸間弾道ミサイルを、およそ7,000kmも飛ばすという発射試験を実施しました。アメリカの戦略兵器の威力を、あらためて見せつける格好になったのかもしれません。そして、アメリカ国防総省が4日に発表した文書なんですが、『低出力の核弾頭』を実戦配備したと発表したんですね」

竹内キャスター「『低出力の核弾頭』って聞き慣れないんですけど、いったい、何ですか?」

能勢解説委員「単純に言うと、今までアメリカが配備している核弾頭より威力が小さいものを、ミサイル原子力潜水艦のミサイルに搭載したということですね。すでにロシアは、戦略兵器に低出力の核弾頭を搭載していると言われています。だから、アメリカも同じような兵器を持っていないと、ロシアと駆け引きができないというわけですね」

竹内キャスター「アメリカもバランスをとるために、ロシアと同じレベルの低出力核弾頭を実用化したということなんですか?」

能勢解説委員「アメリカとロシアの間で結ばれている『新START』と呼ばれる戦略兵器削減条約が2021年に期限を迎えます。新たな技術で、いまやロシアが一歩リードしてしまったかもしれないこの状況下で、アメリカがどこまで迫れるか。矛盾しているようですが、今はそんな感じになってしまっているんですね」

竹内キャスター「2020年の11月には大統領選もありますし、アメリカの動向から目が離せないですね」

(2020/02/09)

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